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新卒一括採用から離脱した日本人は海外就職で成功できるか

現在観測 第41回

内定をとるためだけの、型にはまった就職活動はもう嫌だ!…だから日本を飛び出して海外に行ってしまおう! そう考える人も少なくないかもしれません。しかし実際「海外就職」とは簡単に成功してしまうものなのか? マレーシアを拠点を置き、海外情報にまつわる情報発信を行う『なでしこVoice』『ABROADERS』代表・濱田真里さんに、リアルな事情についてお話を伺いました。

◆「新卒採用システム」は日本独特の文化

アジアはもちろんヨーロッパ、南米、アフリカまで、世界で仕事をする日本人は少なくない。海外就職をする前に必要な心がまえとは。

 海外で働く日本人の取材を始めて6年目になります。始めたきっかけは、就職活動をしていた時に「海外で働きたいけど、日本人女性がどんな風に仕事をしたり暮らしたりしているのか、全く情報がない」と思ったことでした。実際にカンボジアにまで行って就職活動をしたのですが、今の自分ができることはほとんどないということを実感し、帰国して日系企業に就職をしました。現在はアジア各国に拠点を置く日系人材会社で働きながら、アジアで働く日本人の情報発信をマレーシアから行っています。
 私が海外で働き始めて改めて思ったのは、「新卒採用システム」は日本にしかない独特の文化だということ。日本では学部で学んだ自分の専門性と関係ない職種につくことはよくありますが、海外の場合は自分の職種と大学で学んだこととの関連性が求められる場合があります。また、海外ではすぐに即戦力になることが求められるので、「何ができるか」を伝えるために学生時代からインターンシップなどで職業経験を積みますが、日本では研修などを通して会社のなかで育てることが前提となっています。
 私自身はこの新卒採用システムを使って最初の会社に入りました。時期を決めて学生を集め、採用活動をするというのは企業側にとって合理的な方法なのかもしれませんが、「ここで内定をもらわなければ後がない」という強迫観念に駆られて就職活動をした当時の私は、とても苦しんだのを覚えています。まるでそれ以外の将来の選択肢がないような気分でした。だからこそ、「新卒で大手企業に入ること以外に、働き方の選択肢はあるはずだ」という思いに至り、『なでしこVoice』を立ち上げることに繋がったのです。

◆戦略的にインターンシップを活用する

 よく私は「新卒で海外就職をしたい」という日本人学生からのご相談を受けるのですが、正直、新卒の場合はビザを取得するのが難しく、また会社からも経験不足で即戦力と見なされにくいのでなかなか実現しないのが現状です。しかし、中にはそれを実現させた人たちもいます。今回は、アジアの中でも特にビザと内定を取ることが難しいと言われているシンガポールでの新卒就職を実現させた女性2名の例を挙げたいと思います。

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濱田 真里

はまだ まり

『なでしこVoice』代表。

1987年埼玉県出身。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。大学3年次に1年間休学をして世界の現状を見るために6カ国でボランティアをしながら世界22カ国をバックパッカーで旅する。その後の就職活動中に「海外の就職情報が欲しい」と思ったが、 欲しい情報が見つからなかったので、「自分で作ろう」と決意。 2011年に世界で働く日本人女性のインタビューサイト『なでしこVoice』を立ち上げる。 海外まで自分で足を運び、 女性に直接インタビューすることをモットーとし、現在までにインタビューした人数は300人、海外就職の相談にのった人数は1000人以上に及ぶ。「女性×海外就職」というキーワードでのサイトのGoogle検索率はトップ。大学卒業後は通信事業会社、編集事務所を経て、現在は『なでしこVoice』の運営や、海外就職をしたい人の応援サイト『ABROADERS』の編集長として活動中。twitter:@hamamariri


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